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月の輝く夜に

月の輝く夜に (花とゆめCOMICS)月の輝く夜に (花とゆめCOMICS)
(2012/08/20)
山内直実

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【あらすじ】
十七歳の貴志子は親子ほどにも歳の違う恋人・有実から彼の娘・晃子を預かって欲しいと頼まれて!? 「なんて素敵にジャパネスク」のコンビが贈る、儚く美しい平安絵巻!



氷室・山内コンビの平安モノというと「なんジャパ」も「ざ・ちぇんじ!」も元気な主人公の物語なのですが、こちらは至って普通のお姫様のお話。

最初は思っていたより地味なお話だなぁと思っていたんですがしっとりした味わいで読み終わってからもなんだか余韻が残ります。淡々と進んでいくかのように思えたお話が少しずつ紐解かれていき味わい深い話でした。

貴志子はどこか落ち着いていて有実の事もそれ程好きとは思えず、かといって父のように慕っているような無邪気な振る舞いをするわけでもなく不思議な感じでした。

そして有実も若い女性に夢中になって惑わされているという感じでは無く・・・そのうち自分の娘・晃子を入内するまでの間邸で預かって欲しいと。普通愛人に対して自分と左程歳も変わらぬ娘を預かって欲しいというのは嫌なことだと思いますが貴志子はそれも了承します。


ここからネタバレ▼(激しくネタバレ)




私はここで貴志子と晃子のあいだに友情のようなものが芽生える話なのかなぁ~とか思っていたらそんな単純ではなくもっと大人なストーリーでした。少しずつ明かされるそれぞれの人の気持ちや事情・・・と言うのが氷室さんはとっても上手なんですよね。

ジャパネスクでもよく出てきますが、この時代は女性は政治の道具にされたり男性も身分があっても権力や財が無ければ財のある家の姫と結婚して後ろ盾を確かにしたり、自分が望まなくても家や立場でどうしよもなかったりというこの時代故に好きだ嫌いだという恋愛感情だけではどうにも出来ない切なさというのを表現されてます。

今回は最初は晃子を預かったらちょっと変わった姫かのように突然貴志子の前に押し入ってきたんですが・・・大姫には顔に痣がありそれは3年前の病気での名残。
その3年前に父である有実が晃子の病の祈願に来て貴志子と出会います。それまで美しい姫として育ってきた晃子がその痣によりもう嫁入りで寵愛されることは無いだろうと思われ何もかも事態は変わってしまった。
大姫の事情を知って彼が自分を求めてきたのはきっと娘の代わりなんだろう・・・と貴志子は思います。

寵愛は受けなくてもせめて帝の嫁として飾り立てあげたいとの父の思いだと晃子に貴志子が説明すると晃子は笑って事の真相を説明します。実は有実の従う左大臣の幼い三の姫が嫁入り出来る歳になるまで他の権力者の娘を入内させない為の策で自分はむしろ寵愛されないことが求められているんだと・・・少しずつ真実がわかってきてどんどん話に引き込まれていきました。

晃子が貴志子の邸に来た理由もそんな父への思いから二人の仲を壊してやれば・・・

でもあなたを一目見てだめだと思った

あなたは父様になんの執着ももってないから・・・

貴志子も別の人に叶わぬ思いを抱いていたんです。
叶わぬ相手だとあきらめた上で自分も有実を気持ちの隠れ蓑にしていただけだったんです。
だからずっと読んでいて何かヒロインにしっくり来ないところがあったんですね。あまり色々な感情を出さないというか何があっても動じないとか。

貴志子の好きな相手、宮も別の姫と結婚することになります。
宮の相手が左大臣が手を焼いている一の姫だったと知り更に宮にも自分が過去に東宮争いで負けた立場だった苦しい境遇からそう生きていかなけらばならなかったと。晃子がその様子を見ていて晃子にも本当は好きな人がいたけれど運命を受け入れていく様も切なかった。この時代故に上手く立ち回っていかなければ生きていけない哀しさがあって氷室さんの作品の人って本当に皆憎めないんですよね。

そして最後に穏やかな顔に隠された有実の真実。政治的に娘をも利用していたんですが、彼は貴志子に好きな相手がいてそれが宮だということに早々に気付いていた。気付いてわざと一の姫の相手に宮を勧めた。実は娘の代わりなどでなく彼は本気で貴志子が好きだったんです。

「あなたは私のそばにいるんだ いずれ右大臣になる私のそばに」
この少し傲慢なような、精一杯の強がりのような、結局どう思われてもそれでも傍に居て欲しいと。

そんな姫も
「私はいつもぼんやりしているからそんなに苦しくないかも知れない私はそれなりに幸せに暮らしていくかもしれない」
貴志子も一番好きな人とは一緒になることは無い、けれど自分が思っていたよりも大切に思ってくれていた有実といるのがきっと一番いいことなんだろうと。
だけど・・・「月の明るい夜には晃子や宮を思って泣くだろう」
なんだか誰も心から幸せにはなれていないとても切ないお話です。だけどなぜだか読後感がいいんですよ。

それぞれ時代ならではの選択だったわけですが、それぞれが気持ちに折り合いをつけ今は止むを得ない道を選択したけれど、きっと皆これで良かったんだと思う日が図らずとも来るんじゃないかなぁという名残があるから読後感がいいのかもしれません。

買ったのは当日だったのですが最近読んで、そうしたら先月コバルト版が出てたんですね。他にもざ・ちぇんじ!とか未収録作品を同時収録だそうで早速読んでみたいです。何より楽しみなのは氷室さんのクララ白書の番外編が入ってるということ。とっても好きな作品だったんで又しーの達に合えると思うと嬉しいです。




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